この記事は、2021年2月に書いたものを、2026年8月に全面的に書き直しています。
当時の私は、まだリノベーション工事の真っ最中でした。図面を眺めて、これからの暮らしを想像しながら書いた記事です。
いまは、その家に5年住んでいます。
だから今回は、当時の判断を答え合わせする形で書き直します。当たったこと、外れたこと、そして当時の自分が書いていなかったことまで。
この記事には、私が過去に書いて、いま撤回する記述が3つ出てきます。
消して書き直すこともできましたが、「何を間違えたか」も含めて残したほうが読む人の役に立つと思ったので、そのまま書きます。
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結論:正解はありません。あるのは優先順位だけです
長い記事になるので、先に書いておきます。
- 全部を満たす選択肢はありません。 自由度・立地・コスト・スピードのどれかを必ず捨てます
- 我が家は「立地」と「自由度」を取り、「スピード」を捨てました
- 中古+リノベは、いちばん時間がかかる選択肢です
- 5年住んで、後悔はしていません。 ただし同じ計算が、いまも成り立つとは言えません
- 当時の私が書かなかった最大の落とし穴は、住宅ローンでした
「中古リノベがおすすめ!」とは書きません。 そう書ける立場ではないからです。
まず、選択肢を並べます
家を買うとき、選択肢はだいたいこの6つに整理できます。
画像:img_rr_options_1200x1000.png(住まいの選択肢を4つの軸で比較)
alt:新築建て売り・注文住宅・新築分譲マンション・中古マンション・中古+リノベ・中古戸建+リノベを自由度/立地/コスト/スピードで比較した表
| 選択肢 | 自由度 | 立地 | コスト | スピード |
|---|---|---|---|---|
| 新築 建て売り | × | △ | ○ | ◎ |
| 新築 注文住宅(戸建) | ◎ | △ | × | △ |
| 新築 分譲マンション | × | ◎ | × | ◎ |
| 中古マンション(そのまま) | × | ◎ | ◎ | ◎ |
| 中古マンション + リノベ | ○ | ◎ | ○ | × |
| 中古戸建 + リノベ | ◎ | △ | ○ | × |
我が家が当時、どう感じたかを並べただけです。
立地の評価は地域によって逆転しますし、コストは物件と工事内容で大きく振れます。
「こういう軸で考えると整理しやすい」という枠として使ってください。
中古+リノベの「自由度」が◎ではない理由
表を見て、気づいた方がいるかもしれません。中古+リノベの自由度は◎ではなく○にしています。
マンションには、絶対に変えられない部分があるからです。
窓と玄関ドアは共用部なので、自分の判断では交換できません。管理規約による制限もありますし、構造によって抜けない壁もあります。
「自由自在にカスタマイズできる」という書き方は、正確ではありません。

我が家が中古+リノベを選んだ理由(2021年)
当時の私は、こう考えていました。
譲れなかったのは「通勤時間」
夫婦とも会社勤めで、これから20年以上働く予定でした。
通勤時間を減らしたい。満員電車に乗りたくない。できれば自転車で通える範囲に住みたい。 それでいて、休日に出かけやすい場所がいい。
この条件だと、郊外に多い新築戸建ては最初に消えました。
トルテ「リノベーションがいいと思ったから選んだ」わけではありません。
譲れないものを2つ決めたら、残ったのがこれだけだった。 それが実際のところです。
でも、間取りは自分たちで決めたかった
一方で、決められた間取りに住むのも嫌でした。
「住みながら不満を直せばいい」という考え方もありますが、どうせなら住む前に住みやすくしたほうが早いと思ったんです。
立地と自由度を両立できるのが、これしかなかった
- 立地を取ると、新築マンション → 予算が届かない
- 自由度を取ると、注文住宅 → 立地が郊外になる、そして高い
- 両方取りたい → 中古マンション+リノベーション
消去法だった、というのが正直なところです。
5年住んだいま、その3つは当たっていたか


① 間取りを自由に決められる → ◎ 当たりました
しかも、想像していなかった形で効きました。
我が家は仕切りの少ない間取りにしました。当時は「広く見せたい」くらいの気持ちでした。
そのあと、子どもが生まれました。
仕切りが少ないと、どこにいても目が届きます。5年間でいちばん効いているのは、実はここです。 当時は意図していませんでした。
② 物件選びを一緒に見てもらえる → ◎ 当たりました
内覧にリノベ会社の方が同行してくれました。
素人だけで見に行くと、日当たりと広さくらいしか見られません。 実際には、管理状態、修繕積立金、そして「この壁は抜けるのか」といった構造の話を、その場で見てもらえたのが大きかったです。


③ 注文住宅より総額が安い → △ 当時は、そのとおりでした
ここだけ、いまは同じことが言えません。
理由は次の章で書きます。
同じ判断が、いまも成り立つとは限りません
工事費が、上がり続けているからです。
国土交通省が毎月公表している建設工事費デフレーターという指標があります。工事費の水準を示す数字で、2015年度を100としています。
2026年1月時点の建設総合デフレーターは133.3。 2015年度から3割以上上がっています。
我が家が契約したのは2020年から2021年にかけてです。
同じ工事を、いま同じ金額で頼めるとは思わないでください。
このブログには実費を公開した記事がありますが、それは当時の金額です。参考にはなっても、そのまま使える数字ではありません。




2021年に書いて、いま撤回すること
この記事を読み返して、根拠を示せないものが3つありました。


① 「新築は鍵を開けた瞬間に2割下がる」
当時、これを2回書いていました。
よく聞く話ですし、私も疑わずに書きました。でも、出典を示せません。
調べてみると、国土交通省の不動産取引価格情報を使って実際の取引を分析した検証では、「そこまでの下落は確認できない」とするものもありました。日本経済新聞も、経済財政白書を引いて「マンションの資産価値は下がりにくくなっている」と報じています。
「新築プレミアムはある」と言う人もいれば、「崖はなかった」と言う人もいる。
つまり、私が断定できることではありませんでした。 この記述は撤回します。
② 「リノベ費用の平均は約1,000万円」
これは、私が自分で集めた事例の平均でした。
母集団も、集計方法も、示せません。別の記事で調べ直したところ、そもそもリノベ費用に「代表的な金額」というものが存在しないことが分かりました。
国の調査でも、平均と中央値が3倍以上ずれています。 平均を出しても意味がない分野なんです。
この数字も撤回します。
③ 「所有する住宅の分類(2019年調べ)」
7年前の民間調査でした。 いま引用する意味がないので、外します。
当時の私が、書かなかったこと
撤回よりも、こちらのほうが問題だったと思っています。


住宅ローンの話が、ひとことも出てきません
これがいちばん大きい抜けです。
中古+リノベは、物件代とリノベ代という2つの支払いを、1本のローンにまとめる必要があります。
この扱いは、金融機関によって違います。 そして、リノベの見積りが固まる前に物件の契約が先に来るので、資金計画は新築を買うより複雑になります。
我が家は、このあと住宅ローンの審査に落ちました。
都市銀行に申し込んで、断られています。理由は教えてもらえません。その後、別の金融機関で通って、いまの家に住んでいます。
「メリットは3つあります」と書いていた記事に、この話は一行もありませんでした。




工事のあいだ、住む場所が要ります
我が家の工事は約3か月かかりました。
その間も、いま住んでいる家の家賃は出ていきます。 引き渡しを受けてから工事なので、ローンの支払いと家賃が重なる期間も出てきます。
すぐ住める新築との、いちばん大きな違いがここです。


変えられない部分があります
前述のとおり、窓と玄関ドアは共用部です。管理規約による制限もあります。
「自由自在」ではありません。
当時の私が、まさにそれを書いていました。
選ぶ人が知りたいのは、何を失うのかです。それを書かない記事は、読んでも決められません。
リノベ会社の資料請求は無料です。 会社ごとに得意分野も価格帯も違うので、複数社を見比べるのが前提だと思ってください。


中古+リノベ以外にも、選択肢はあります
旧記事にも書いていた部分ですが、いまも有効だと思うので残します。
リノベーション済み物件を買う
すでに工事が終わっている中古物件を買う方法です。
| 向いている人 | 間取りを一から決める時間と気力がない人 |
| メリット | すぐ住める。工事中の家賃が発生しない |
| 注意点 | 壁の中がどうなっているか、自分で確認できません |
内装だけきれいにして、配管や下地はそのままという物件もあります。 見た目では分かりません。


中古戸建て+リノベ
マンションのような共用部の制約がないので、自由度は上がります。
ただし、構造の状態を自分で判断するのが難しいです。耐震補強が必要になれば費用も跳ね上がります。
マンションより、専門家の力を借りる必要が大きい選択肢だと思っています。
中古マンションを選ぶなら「管理」を見てください
旧記事でも書いた話ですが、5年住んでますます実感しています。
同じ築年数でも、マンションによって状態はまったく違います。
- 大規模修繕を計画どおりやっているか
- 修繕積立金は足りているか
- 長期修繕計画があるか
- ゴミ置き場や共用部が清潔か
「マンションは管理を買え」という言い方があります。
管理が良ければ、築年数が古くても状態は保たれます。 逆に、管理が悪いと見た目以上に価値が落ちます。
修繕積立金の残高も、長期修繕計画も、間取り図やチラシには載っていません。
不動産会社やリノベ会社に調べてもらう前提で考えたほうが確実です。
内覧に同行してもらえるかどうかは、会社を選ぶときの判断材料になります。
5年住んで思う、選び方の話


| # | 考えること | 中身 |
|---|---|---|
| 1 | 優先順位を2つだけ決める | 全部は満たせません。我が家は「立地」と「自由度」でした |
| 2 | スピードを捨てられるか | 中古+リノベは、いちばん時間がかかります |
| 3 | 資金計画を、いちばん最初に | 物件代とリノベ代をまとめて借りられるかが先です |
| 4 | 工事中の住まいを計算に入れる | 工事のあいだも家賃は出ていきます |
| 5 | できないことを先に確認する | 窓・玄関ドアは変えられません。管理規約も読みます |
| 6 | それでも、後悔はしていません | 間取りを自分たちで決めた価値は、確かにありました |
正解はありません。あるのは、優先順位だけです。
我が家の答えが、あなたの答えとは限りません。 この記事が、自分の優先順位を決める材料になれば十分です。
よくある質問
- 結局、新築と中古+リノベはどちらがおすすめですか?
-
どちらとも言えません。 何を優先するかで変わります。「すぐ住みたい」「手間をかけたくない」なら新築のほうが合いますし、「立地は譲れないが間取りも決めたい」なら中古+リノベが残ります。我が家は後者でしたが、それは我が家の事情です。
- 中古+リノベは本当に安いですか?
-
同じ立地の新築と比べれば、抑えられることが多いと思います。 ただし工事費は年々上がっていて、2026年1月時点の建設工事費デフレーターは2015年度比で3割以上です。「昔はこうだった」という数字は、そのまま使えません。
- どのくらい時間がかかりますか?
-
我が家は工事だけで約3か月でした。物件探しと設計を含めると、もっとかかります。いちばん時間のかかる選択肢だと思ってください。
- 住宅ローンは組めますか?
-
物件代とリノベ代をまとめて借りられるかは、金融機関によって扱いが違います。 我が家は一度審査に落ちています。会社選びより先に、資金計画を確認してください。
- 新築は買った瞬間に2割下がるって本当ですか?
-
私は断定できません。 よく言われる話ですが、実際の取引データを分析した検証では「そこまでの下落は確認できない」とするものもあります。この記事でも以前は断定していましたが、撤回しました。
- リノベーション済み物件ではダメですか?
-
時間と手間を優先するなら、有力な選択肢です。 ただし壁の中を自分で確認できないという弱点があります。内装だけ新しく見える物件もあるので、そこは注意してください。
まとめ
- 全部は満たせません。 自由度・立地・コスト・スピードのどれかを捨てます
- 我が家は「立地」と「自由度」を取り、「スピード」を捨てました
- 5年住んで、後悔はしていません
- ただし工事費は上がっており、同じ計算はいま成り立ちません
- 当時の私が書かなかった最大の抜けは、住宅ローンでした
この記事は、5年後にまた書き直すと思います。
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