- 「固定の子ども部屋を作らない」設計が、5年でどう機能したか
- 子どもスペースを3段階で移していくという考え方
- 壁の代わりに使える、ゆるく仕切る4つの道具
- 5年住んで感じている、正直な反省
こんにちは。中古マンションを買って84㎡をフルスケルトンリノベし、5年暮らしているトルテです。
リノベの設計中、いちばん悩んだのが子ども部屋でした。
幼少期・小学校・思春期・独立後で、必要なものがまるで変わる。今の子どもに合わせて作ると、10年後には合わなくなる。かといって将来に合わせると、今が使いづらい。
そのとき設計士さんから出てきた提案が、「固定の個室を作らず、可変性のある間取りにする」という考え方でした。実はこの提案が、私たちがゼロリノベに決めた理由のひとつでもあります。
で、5年経った今どうなのか。先に結論です。
トルテ可変性を選んだ判断は、正解でした。 広さを最大限に使えたし、子どもの成長に合わせて実際に使い方を変えられています。
ただし——「ドアで閉じられる部屋が1つだけあれば、もっと良かった」とも思っています。両方が本音です。
「可変性のある間取り」とは、何を選ばなかったのか
言葉だけだと分かりにくいので、選択肢を並べます。


固定の個室をつくる場合
いま4.5畳の子ども部屋を作る。思春期になれば、そのまま使えます。
ただしその4.5畳は、他のどこかから削った面積です。84㎡という限られた広さでは、LDKが確実に狭くなる。そして子どもが独立したあと、使わない部屋が1つ残ります。
余白を残す場合(我が家)
固定の個室は作らず、LDKを広く取ったうえで「あとで渡せる場所」を用意しておく。我が家の場合、キッチンの正面にある書斎がそれにあたります。
いまは私が仕事場として使っていますが、子どもが自分のスペースを望んだら明け渡す予定で設計しました。
固定の個室が悪いわけではまったくありません。部屋数に余裕がある物件なら、素直に子ども部屋を作るほうがラクです。
我が家が可変性を選んだのは、84㎡でLDKの広さを諦めたくなかったから。前提が違えば答えも変わります。


5年間で、実際にどう使い方が変わったか
ここからが本題です。「可変性がある」と言っても、具体的に何をどう変えたのか。
可動棚の最下段が、子ども用デスクになった
我が家には各所に可動棚があります。その中でいちばん奥行きのある棚の最下段を、子どもの机として使っています。
これは設計時にまったく想定していなかった使い方でした。ただ、棚板の高さを自由に変えられるという一点だけで、こういう転用ができてしまう。ちなみにこの棚はLEDテープライトを仕込んであるので、手元も明るいです。



「子ども用のデスクを買わなきゃ」と思っていたのが、棚板の高さを変えるだけで済みました。可変性のいちばん分かりやすい効き方だったと思います。


来客時、ソファを回してリビングを広げる
普段はテレビの正面にソファを置いていて、このソファがキッチン・ダイニングとリビングをゆるく仕切る役をしています。
ところが子連れ3家族が遊びに来たときは、ソファを横置きに変えます。それだけでリビングが一気に広くなり、子どもたちが走り回れる。
壁だったら、これは絶対にできません。


「ゴルフのパター練習カップ」は、使えなくなった
正直な失敗も書いておきます。
設計のノリと勢いで、床にゴルフのパター練習用カップを造作しました。これが今、ほとんど使えていません。子どもが小さいうちはパター練習どころではないですし、書斎の近くにゆるい間仕切り用の棚(無印良品のスタッキングシェルフ)を置いたことで、動線的にも使いづらくなってしまった。
ここが可変性の話とつながります。造作は「動かせない」ものです。だから作るときは「10年後もこれを使うか」を一度考えたほうがいい。
我が家のゴルフカップは、趣味の造作は”床に埋める”より”置く”ほうがよかったという教訓になりました。
子どもスペースは、3段階で移していく
我が家が今考えているのは、一度に「子ども部屋」を用意するのではなく、成長に合わせて段階的に場所を移していくという計画です。


STEP1(いま):可動棚の最下段
前述のとおり。リビングの一角にある「自分の場所」という位置づけです。親の目が届くので、この年齢ではこれで十分でした。
STEP2(小学校高学年ごろ):室内窓のデスク
次に想定しているのが、室内窓のところに設けたデスク。ここに移せば「自分の机」感がぐっと出ますが、まだLDKから目は届きます。
STEP3(思春期):書斎を明け渡す
そして思春期になったら、キッチン正面の書斎を子どもに渡す。これが当初からの想定です。



大事なのは、この3段階が「今日決めなくていい」ということです。子どもが自分のスペースを望んだタイミングで動けばいい。
そして最終的にどんな部屋にするかは、子どもと一緒に考えたいと思っています。それができるのも、決め打ちしなかったからです。
壁の代わりに「ゆるく仕切る」4つの道具
固定の壁を作らない代わりに、我が家では動かせるもので仕切っています。


① ソファ
前述のとおり、置く向きひとつで空間の性格が変わります。いちばん手軽で、いちばん効く仕切りです。
② 可動棚・シェルフ
向きを変えれば視線を切れます。我が家では無印良品のスタッキングシェルフを妻の作業スペースの仕切りとして使っています。棚は「仕切り+収納」を兼ねるので、面積効率が良いのも利点です。
③ 天井付けカーテン
躯体現しの天井にカーテンレールを直付けしています。これは素人にはできない、リノベだからこそできた仕掛けです。室内窓越しにある寝室を、ゆるく仕切りつつ遮光もできる。
天井から床までぴったりの既製カーテンは、ほぼ売っていません。オーダーすると高くつきます(我が家は既製品で妥協しました)。
天井付けを検討するなら、カーテンの丈をどうするかを設計段階で考えておくことをおすすめします。


④ 室内窓
これだけは建築側の仕掛けです。閉じた空間に光と抜けを通しつつ、空間は分ける。仕切りながら気配は残せるという、可変性とは少し違う役割を果たしています。
正直な反省:「ドアのある部屋」が1つ欲しかった
ここは本音を書きます。
きちんとドアで閉じられる部屋を、1つは設けておくほうがよかったとも思っています。
理由は思春期です。「ゆるく仕切る」は、閉じることができません。プライバシーが必要になる時期に、カーテンや棚では対応しきれない場面が出てくるだろうと予想しています。



ただ——個室を1つ作れば、その分どこかが狭くなるのも事実です。それは嫌だな、とも思う。
5年住んでも、この2つの気持ちは両方あります。きれいに割り切れる話ではないというのが、いちばん正直なところです。
これから設計する方に伝えるとしたら、「完全に個室ゼロ」よりも「閉じられる部屋を1つだけ確保して、あとは可変にする」というバランスが、たぶん一番現実的です。我が家がもう一度設計するなら、そうすると思います。


子育て前提でリノベするなら、床と音を厚めに
間取り以外で、子育て世帯に一番伝えたい2つを書いておきます。
① 床は無垢がおすすめ。ただしウレタン塗装で
無垢床は本当におすすめです。素足が気持ちいいし、傷も味になる。
ただし子育て世帯には注意点があります。無垢は傷がつきやすく、液体が染み込む。飲み物をこぼす、おねしょをする——これが無塗装やオイル仕上げだと、シミが残ってしまう可能性があります。
ウレタン塗装にしておくと、この不安がかなり減ります。「無垢の風合いが落ちる」という意見もありますが、子どもが小さい期間は塗膜がある安心のほうが大きいと感じています。
我が家はリビング・キッチンにPタイル(サンゲツ グランドモルタル)を使っていて、掃除しやすさは気に入っています。
ただ、冬は冷たく、硬い。私たち大人はスリッパで対応していますが、スリッパをうまく履けない小さい子には、正直つらいと思います。タイルを広く使うなら、ラグを敷く前提で考えたほうがいいです(我が家もテレビ前にはラグを敷いています)。


② 防音は、想像より厚めに
マンションで子どもがいると、飛び跳ねます。これは避けられません。床の防音対策は、想定より厚めにしておくのが正解です。
そして仕切りのない間取りでは、音が家全体に抜けます。我が家の場合、子どもがテレビの音量をかなり上げるので、家のどこにいても聞こえる。これは開放感とセットの代償で、覚悟しておいたほうがいい部分です。
よくある質問
- 子どもが2人以上の場合も、可変性で対応できますか?
-
人数が増えるほど「同時に閉じられる場所」が必要になるので、難易度は上がります。2人以上を想定するなら、将来間仕切りを追加できる形(下地・電気・空調をあらかじめ2部屋分用意しておく)にしておくのが現実的です。設計段階で相談してみてください。
- あとから壁を追加することはできますか?
-
マンションの専有部内の間仕切りなら、基本的には可能です(管理規約の確認は必要)。ただし照明・コンセント・エアコン・空調の経路まで考えないと、追加した部屋が使いにくくなります。「あとで壁を足すかも」と思うなら、その位置に下地とコンセントを仕込んでおくと後がラクです。
- 子どもが小さいうちにリノベするのはアリ?
-
個人的にはアリだと思います。未就学のうちは荷物も少なく、仮住まいの負担も比較的軽いからです。ただし工事期間中の仮住まいと保育園・学校の距離は必ず確認してください。
- 「余白を残す」って、結局決めきれてないだけでは?
-
その指摘はもっともです。「決めない」と「決められない」は違います。可変性を選ぶなら、「いつ・どこを・どう渡すか」の見取り図だけは持っておくべきだと思っています。我が家の3段階も、そのための計画です。
- リセールを考えると、仕切りが少ないのは不利ですか?
-
感覚としては、個室が少ない間取りは万人向けではないと思っています。ただ、リノベ済み物件を扱うサービスも出てきているので、悲観しすぎる必要はないとも感じています。詳しくは資産価値の記事にまとめました。


まとめ:「今の正解」ではなく「変えられること」を設計する


- 「余白を残す」判断は正解だった。広さを最大限に使えて、用途も変えられた
- 子どもスペースは3段階で移していく。可動棚 → 室内窓のデスク → 書斎
- 仕切りは家具・カーテン・室内窓で足りる。壁と違って、あとから動かせる
- 正直、ドアのある部屋が1つ欲しい。思春期に「閉じられない」のは弱点
- 子育て前提なら、床と音の対策を厚めに。無垢+ウレタン塗装/防音は入念に
リノベの設計をしていると、「今のベスト」を作り込みたくなります。でも家は10年、20年と使うもので、その間に暮らしのほうが変わっていく。
だから設計で本当に決めるべきなのは、「今の正解」ではなく「あとから変えられる余地をどこに残すか」なのだと、5年住んで思うようになりました。
そして——この発想を提案してくれるかどうかは、会社によって差があります。「子ども部屋は何畳にしますか」と聞く会社と、「そもそも固定の個室が要りますか」と聞いてくれる会社では、出てくる間取りがまったく違う。
子育て中でこれからリノベを考えている方は、最初の相談のときに「将来の可変性」という言葉を投げてみてください。その反応で、会社の設計思想がかなり分かります。




あわせて読みたい(内部リンク)












