下地が終わると、いよいよ仕上げです。
床が張られ、壁紙が貼られ、キッチンが入る。
選んできた色と素材が、ようやく形になります。
そして——あとから5本の記録を並べて、気づいたことがあります。

リノベーションの仕上げで選んだ6つが、すべて掃除のしやすさを基準にしていたこと
意識して揃えたわけではありません。迷ったときに、いつも同じほうを選んでいただけです。
中古マンションを84㎡フルリノベーションして、5年住んでいます。
この章は、工事29日目から76日目(2021年3月10日〜4月23日)の記録です。
フローリング、ユニットバス、パテ、壁紙、床タイル、キッチン。
工事の最後の1か月半です。
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床は、アカシアの無垢材にしました
そして、ウレタンコートをかけました
我が家の床は、アカシアの無垢フローリングです。
濃いめのウォールナットのような色に塗装してもらいました。
アカシアは、しなやかで硬く、衝撃に強い木だそうです。ウォールナットと同じマメ科ですが、そちらより価格が抑えられます。

悩んだのは、コートするかどうかでした
無垢材にウレタンコートをかけると、調湿効果と風合いが大きく減ります。
それでも、かけました。
理由は2つです。
メンテナンスがほとんど要らないこと。
水などの染みが、ほぼつかないこと。
これは、賛否が分かれるところだと思います。
無垢の風合いを大事にする方なら、コートしない選択になるはずです。
コートして、正解でした。
そして——子どもが生まれてから、さらにそう思いました。
食べこぼしも、飲み物をこぼしたときも、拭けば済みます。
当時は「風合いが減るのは惜しい」と思っていました。
いまは、そこを気にしたことがありません。
浴室は、オプションを極力つけませんでした
棚をつけなかった理由
我が家のお風呂はLIXILのリノビオV。サイズは1416(幅1400mm×奥行1600mm)です。
ユニットバスを選ぶときは、いま使っているお風呂のサイズを測っておくと話が早いと思います。ショールームで現物も見られます。
そして——オプションを、ほとんどつけませんでした。
鏡も外そうか、と話したくらいです。
理由は、掃除です。
浴室の壁には、シャンプーなどを置く棚がよくあります。
あの棚と、棚を受ける金具のところに、湯垢やカビがたまります。
こまめに掃除すればいい、というのは分かっています。
でも、それなら最初から付けなければいい。
では、シャンプーはどこに置くのか
当時の記事には「マグネット式のディスペンサーホルダーを使う予定」と書いていました。
でも実際は、違う形に落ち着いています。
山崎実業のマグネット式バーに、無印良品のボトルを吊るす。
フックは、セリアで買った100均のものです。
専用品でなくても、目的は果たせました。
このバーは5年で4本に増えていて、錆の対策も含めて別の記事にまとめてあります。

エコベンチのために、この機種を選びました
リノビオVを選んだ、もうひとつの理由があります。
エコベンチという、浴槽の中が2段になっている構造です。
座れるようになっているので、半身浴がしやすくなります。
浴槽の容積が減るので、お湯も節約できます。
1416サイズでエコベンチが付いているモデルは、当時あまりありませんでした。
間取りの都合でサイズが決まっていたので、そこから選べる範囲で決めた形です。


壁紙の前に、パテで平らにします
見えなくなる工程ですが、仕上がりを決めます
壁紙を貼る前に、下地をパテで平らにする工程があります。
ボードのつなぎ目や、ビスの頭のくぼみを埋めていきます。
ここが平らでないと、壁紙を貼ったときに凹凸が出ます。
貼ってしまえば、二度と見えない部分です。




壁紙は、貼る手間が費用の大半でした
パテが乾くと、いよいよ壁紙です。
壁紙は、分厚いカタログから選びます。
私がもらったカタログは1束で100種類ほど。メーカー違いを入れたら、選びきれません。
なので、カタログを1束だけに絞って、その中から選びました。
調べてみたら、材料はとても安かった
我が家が選んだアクセントクロスは、希望小売価格1,000円/mでした。
ところが、建材の通販サイトを見てみると——312円/m。
ベースの白いクロスに至っては、163円/mです。
リノベ会社の見積もりでは、壁紙工事はそれなりの金額でした。
でも材料がこの値段なら——費用の大半は、施工費と人件費ということになります。
壁は、思っている以上に面積が広い。そして貼るのに手間がかかります。
つまり、こういうことです。
アクセントクロスを1枚入れても、材料費の差はわずかです。
「壁紙にこだわると高くなる」とは、必ずしも言えません。
※価格は2021年に調べたものです。
使った壁紙の品番





| 場所 | 品番 | 特徴 |
|---|---|---|
| リビング〜寝室 | サンゲツ FE-6208 | モルタル風。防カビ・表面強化・ウレタンコート |
| カップボード側 | サンゲツ RE51193 Blackboard | チョークで書ける黒板クロス |
| 洗面所〜洗濯機置き場 | サンゲツ RE51278 | 白タイル状。不燃・防カビ |
| ベースの白 | ルノン RM-533 | 石目調。コテで塗ったような表情 |
カップボード側の壁は、黒板として使えるクロスにしました。
実際にチョークで書くことは、たぶんないと思っています。
でも、子どもと一緒にお絵描きするのは楽しそうだな、とは思いました。
壁紙の品番が分かれば、建材の通販サイトで実売価格を調べられます。
私が見たのは【アウンワークス】でした。
洗面所は、光で印象が変わりました

洗面所の壁紙は、白いタイル柄です。
窓からの光が届かない場所なので、ダウンライトは昼光色にしました。
白っぽい光の下だと、タイル柄がよく映えます。
貼られた直後、曇りの日に見たときは暗く沈んで見えました。
照明が入ってから、印象が変わりました。

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ロボット掃除機のために、変えた設計
リビングの床は無垢のフローリングですが、一部に塩ビのタイル(Pタイル)を入れています。
最初は、タイルの部分をフローリングより一段下げる案が出ていました。
土間のように、少し低くする。空間が分かれて見えます。
でも、やめました
段差をつけると、ロボット掃除機が通れなくなるからです。
そこで、こう考え直しました。
「段差はつくらないで、色で高低差があるように見せられないか」
選んだのが、かなり黒に近いタイル(サンゲツ グランドモルタル IS-862)です。


やりたかったのは「空間を分けること」でした。
段差は、そのための手段のひとつにすぎません。
段差が使えないなら、色で分ければいい。
結果として、掃除のしやすさも、見た目も両方とれました。
「その手段が使えない」と分かったときに、目的まで戻れるかどうか。
ここは、設計士さんと現場に助けてもらった部分だと思っています。

キッチンの床は、色違いにしました
キッチンの床にも同じPタイルを使っていますが、色違いのIS-861(グレー)です。
リビングと同じ黒にしようかとも思いましたが、カップボード側の黒いクロスと対比をつけたかったので、少し明るいほうにしました。
白いクロス、黒いクロス、グレーの床。 このコントラストが気に入っています。


洗面所の床は、クッションフロアに
洗面所と洗濯機置き場は、クッションフロア(サンゲツ Hフロア HM-10128)にしました。
水回りなので、耐水性と抗菌性を優先しています。
壁のタイル柄の印象が強いので、床はシンプルなものを選びました。
天井とダクトを、白く塗りました





天井は躯体現しにして、白く塗装しました。
躯体がきれいだったので、そのまま残そうかという案も出ました。
でも、当初の予定どおり白く塗っています。
白くすることで、部屋が明るくなりました。
そして、天井を高くとれました。
躯体の凸凹は、どうしても残ります。
ただ、第1章で気にしていた緑や黄色のポッチは、きれいに見えなくなりました。

テーブルを支える金具が、シルバーのままでした
造作のカウンターテーブルは、天板をL字のブラケットで支えています。
天板はダークウォールナットに塗ってもらいました。
でも、金属のブラケットは塗装されていませんでした。
シルバーの金属光沢のまま、木の下にくっついていた形です。

前回の見学では、気づいていませんでした
造作テーブルができたのを見たときは、まったく気づいていません。
天板の色や形に目がいっていて、その下を見ていませんでした。
気づいたのは、次に現場へ行ったときです。
「あ、ここ塗ってもらえないかな」とお願いしました。

塗装の打ち合わせでは、木の部分の色を決めます。
でも実際には、金物にも色があります。
ブラケット、ビスの頭、金具。ここが指定から漏れます。
私も、図面や打ち合わせの段階では気づけませんでした。
現場で、実物を見て初めて分かりました。
塗装が始まったら、金物の色も見てください。
見えないところですが、塗ってよかったです
黒くすると、アイアンのような見え方になります。
シルバーの光沢があるより、こちらのほうが落ち着きました。
もっとも——天板を支える金具なので、テーブルの下をのぞきこまないと見えません。
見えないところに、少し気をつかった形です。
ちなみに、室内窓の木枠も黒にしています。
黒でそろえる、という方針だけは決まっていました。

第4章では、頼んでいない工夫が2つ入っていました。現場が気づいてくれた分です。
ここは逆でした。現場が気づかなかったところに、私が気づいた形です。
どちらか一方ではなく、両方あってちょうどいいのだと思います。
パナソニックのラクシーナに、LIXILの水栓
キッチンは、パナソニックのラクシーナです。
そして水栓は、あえてパナソニックのものを選ばず、LIXILのナビッシュ(SF-NA491S)にしました。
理由は、ショールームで両方に手をかざしたとき、LIXILのほうが反応がよく感じたからです。
わずかな差でしたが、毎日、何十回も使うものです。
※これは2021年当時、ショールームで触った印象です。現行モデルかどうかは確認していません。



シンクは、ラクスルーシンクにしました
これも、掃除のためです。
スポンジや洗剤を置く金具を固定する部材が、ありません。
賃貸のキッチンでは、この部材を外すのに力が要って、つい放置してヌメりが出ていました。
最初から無ければ、その問題が起きません。
シンクは、ラクスルーシンクにしました
これも、掃除のためです。
スポンジや洗剤を置く金具を固定する部材が、ありません。
賃貸のキッチンでは、この部材を外すのに力が要って、つい放置してヌメりが出ていました。
最初から無ければ、その問題が起きません。




神保電器のNKシリーズ
壁のスイッチは、神保電器のJIMBO NKシリーズにしました。
形がシンプルで、押した感触が気持ちいい。
白・グレー・黒があるので、我が家の壁の色とも合わせられました。
トグルスイッチもかっこいいのですが、NKシリーズのほうが部屋に溶け込みます。
いつまでも凛とした佇まいを持つ配線器具になることを目指していきます。
(神保電器 NK SERIE カタログより)
たかがスイッチ、と思われるかもしれません。
でも、毎日何度も触るものです。
ここに少しこだわるくらいは、いいと思っています。

壁掛けテレビのコンセントも、同じシリーズで
壁掛けテレビ用のコンセントプレートも、JIMBO NKで揃えました。
このとき、グレーの壁にグレーではないパーツが付いていて、後日交換してもらっています。
こういうことは起きます。気づいたら、その場で言っておくのがいいと思います。

ダクトレールは、天井に直付けしました
ダクトレール(ライティングレール)を、天井の躯体に直付けしてもらいました。
引っ掛けシーリングに取り付けるタイプもありますが、直付けのほうが出っ張りが少なく、すっきりします。
これは、天井を作り直すリノベーションだからできたことです。
色は白にしました。
アクセントとして黒も考えましたが、アクセントクロスと室内窓の黒が十分に効いているので、天井には馴染ませました。

寝室の扉の高さで、本気で悩みました

寝室の入口の上に、梁があります。
その下に扉が入るので、扉の高さは梁の位置で決まります。
設計士さんとは、「手前の窓枠の上端と、梁と扉の高さを揃えるとスッキリする」という話で決めていました。
でも、実物を見たら低く感じました
扉が低いということは、そのぶん窮屈に見えるということです。
現場監督さんに相談すると、「あと6cmなら上げられます」とのこと。
「6cm上げても気にならないですよ」とも言ってくれました。
私も、そんな気がしました。
でも、設計士さんはプロです。プロの判断を簡単に流すわけにもいきません。
キャンセルできなければ、扉をもう1枚買うことになります。追加で3万円弱。
ここで3万円をケチって、住んでから「上げておけばよかった」と思うのは嫌でした。
でも、完成してから6cm上げるとなれば、3万円ではとても収まりません。
そして——このままでも、すぐ慣れる可能性もある。
梁があるのは分かっていたはずなのに、ここにきて悩みました。
【当時のメモ|2021年3月10日】
たった6㎝、されど6㎝。
地味に効いてくる長さです。朝の5分と夜中の5分の差みたいなものでしょうか。
悩むわーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
5年後の答えを書きます
結局、そのままにしました。
そして、いまは気になりません。
あれだけ悩んだのに、住んでみたら、扉の高さを意識することがなくなりました。
上げていたら上げていたで、たぶん満足していたと思います。
でも、上げなかったことを後悔したことは、5年間で一度もありません。
工事中は、目の前のものだけを見ています。
扉だけを見ていれば、6cmは大きい。
でも住みはじめると、扉だけを見ることはありません。
部屋全体を、動きながら見ています。
「そこだけを見て悩んだこと」は、住むと薄れる。
これは、この工事を通していちばん実感したことかもしれません。
この工程で決めたこと、いまどうなっているか

| 当時 | 5年後 |
|---|---|
| 扉の高さを6cm上げるか悩んだ | そのままにした。いまは気にならない |
| 無垢床にウレタンコートをかけた | 子どもが生まれて、さらに良かったと思った |
| 浴室のオプションを付けなかった | 付けなくて正解だった |
| シャンプーの置き方は、決めきれていなかった | 市販品ではなく、3つの組み合わせで解決した |
あれだけ悩んだ6cmは、住んだら気にならなくなりました。
掃除のしやすさで選んだものは、5年たっても正解でした。
面白いのは、後者はほとんど悩まずに決めていることです。
「掃除がラクなほう」という基準がはっきりしていたので、迷わなかった。
基準がある選択は速くて、正しかった。
基準がない選択(見た目の6cm)は遅くて、しかも結果に響かなかった。
そして——決めきれなかったものは、住んでから形になりました。
シャンプーの置き方は、工事の時点では「たぶんこれ」という状態でした。
実際に暮らしてみて、専用品ではないものの組み合わせに落ち着いています。
工事中に全部決めきらなくても、なんとかなる部分はあります。
5章、ここまでお読みいただきありがとうございました
解体からはじまって、配線、下地、造作、そして仕上げ。
着工から約3か月。この家ができるまでの記録です。
このあとは施主検査をして、引き渡しになります。

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工事の全記録



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