- なぜ「変動」なのに、長いあいだ動かなかったのか
- 我が家が変動を選んだ、3つの理由
- この5年で実際に起きたこと(金利も返済額も上がりました)
- 「変動で不安」という人に、いま伝えたいこと
こんにちは。中古マンションを買って84㎡をフルスケルトンリノベし、5年暮らしているトルテです。住宅ローンは夫婦でペアローン、金利タイプは変動を選びました。
そして——この5年で、金利は実際に上がりました。返済額も変わりました。
トルテ先に結論を書きます。
上がりました。でも、後悔はしていません。
理由はひとつだけ。上がったいまも、あのとき選べた固定より低い水準だからです。
私はファイナンシャルプランナーでも金融の専門家でもありません。中古マンションを買ってリノベし、実際にローンを組んだ一個人です。
この記事は我が家の記録であり、特定の金利タイプを勧めるものではありません。今後の金利がどうなるかについては、一切予測しません(できません)。金額・金利・借入額・金融機関名は非公開とさせてください。
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その前に:なぜ「変動」なのに、長いあいだ動かなかったのか
ここは私自身、組むときに調べて納得した部分です。同じところで引っかかる方が多いと思うので、先に書いておきます。


変動金利は「短期プライムレート」に連動している
多くの金融機関では、変動金利の基準金利を短期プライムレート(短プラ)という指標をもとに決めています。
そしてこの短プラが——2001年以降、年1.375〜1.875%の範囲でほぼ動いていませんでした。20年以上です。
つまり「変動」という名前でも、実質的にはほとんど一定だったというのが実態でした。
動かなかったのは、金融政策が続いていたから
背景にあるのが日本銀行の金融緩和です。長くゼロ金利・マイナス金利の政策が続き、短期金利が低く抑えられてきました。その結果として、短プラも動かなかった。
2024年3月、流れが変わりました
- 2024年3月:日銀がマイナス金利政策を解除
- 2024年7月・2025年1月:段階的に利上げ
- 2025年12月:政策金利が0.75%へ(約30年ぶりの水準)
- 2026年2月:短期プライムレートが年2.125%へ。20年以上続いた水準から動いた
- 2026年6月:政策金利が1.00%程度へ
我が家が借りたのは2021年、まだ短プラが動いていなかった時期です。



ここを知っておくと、「変動=毎年ころころ変わるもの」というイメージが少し変わります。
実際には「20年以上動かなかったものが、いま動き始めた」という局面です。私が借りたときと今とでは、前提がはっきり違います。
過去の推移は事実として書けますが、この先どうなるかは誰にも分かりません。私にも分かりません。
「上がってきたからこの先も上がる」とも、「そろそろ止まる」とも書かないつもりです。予測ではなく、自分の家計で判断してください。
我が家が変動を選んだ、3つの理由


① 当時、固定より明確に低かった
単純な話ですが、これは大きかったです。固定は「余計に払っている感」がどうしても強く、そこが最後まで引っかかりました。
② FPの試算が、上昇を織り込んでも大丈夫だった
ここが決め手です。
我が家は依頼したリノベ会社(ゼロリノベ)からファイナンシャルプランナーを無料で紹介してもらい、資金計画を一緒に整理しました。
そのときの試算が、単に「いまの金利だと毎月いくら」ではなく——
- 今後、金利が上昇した場合
- インフレで支出が増えた場合
- 子どもの成長で教育費などが増えていく場合
こうした条件を織り込んだうえで「それでも大丈夫そうだ」という結果が出ました。だから変動にしました。
③ 低金利が続いてきた背景を知っていた
前章のとおりです。短プラが20年以上動いていないという事実は、判断材料のひとつになりました。
順番として大事なのは、「上がらないと思ったから変動にした」のではないということです。
「上がっても大丈夫だと確認できたから変動にした」——ここが違うと、金利が動いたときの受け止め方がまったく変わります。




正直に書きます:住宅ローンの審査に2つ落ちました
あまり書いている人がいないので、ここも残しておきます。
我が家は、2つの金融機関で審査に落ちました。しかも、いちばん金利の低いところに落ちたんです。



正直、「なんで…」と少し凹みました。
条件を整えて、資金計画も立てて、ここだと決めて出したところで落ちる。数字の話なので仕方ないのですが、そのときはけっこう堪えました。
このとき初めて、「フラット35のような固定のほうが通りやすいのかもしれない」と考えました。迷ったのは、実はこの瞬間だけです。


ここから分かること
- 審査は、金融機関によって基準が違う。1つ落ちても終わりではありません
- 金利の低いところほど、審査が厳しい傾向がある(一般論としてよく言われます)
- だからこそ複数に当たっておくほうがいい。1行に絞ると、落ちた時点で選択肢がなくなります


この5年で、実際に起きたこと
ここが本題です。良いことも悪いことも、そのまま書きます。


金利は上がりました
ニュースを見て、普通に不安になりました。「あ、動いたな」と。正直、少し残念な気持ちもあります。
返済額も変わりました
5年目の見直しで、実際に上がりました。金額は書きませんが、変わったのは事実です。
多くの金融機関の変動金利には、5年ルールと125%ルールと呼ばれる仕組みがあります。
- 5年ルール…金利が変わっても、返済額の見直しは5年ごと
- 125%ルール…見直しで上がる場合も、前回の返済額の1.25倍まで
つまり金利が動いても、毎月の返済額がいきなり大きく跳ね上がることは起きにくい設計になっています。
ただし——これらのルールを設けていない金融機関もあります(適用外の商品もあります)。また、返済額が抑えられても利息そのものが減るわけではない点にも注意が必要です。ご自身の契約がどちらかは、必ず確認してください。
「固定にしておけばよかった」と思ったことは、一度もありません
これは本当です。5年間で一度もありません。
理由は次の章に書きます。
借り換えは「検討した」だけ
金利が動いたタイミングで、借り換えを検討しました。ただし実行はしていません。
金利の見直し通知は、必ず確認しています
届いたら中身を見る。これだけは続けています。変動で組むなら、ここは最低限やっておいたほうがいいと思っています。
繰上返済はしていません
住宅ローン減税が続いている間は、現状維持という方針です。減税の恩恵があるうちに繰り上げると、そのぶんの効果が薄れる可能性があるためです。


比べる相手を、まちがえないでください
ここが、この記事でいちばん伝えたいことです。


金利が上がったとき、多くの人はこう考えます。
「契約したときより上がった → 損をした」
でも、比べる相手が違います。
正しくはこうです。
「上がったいまの変動」と「あのとき選べた固定」、どちらが低いか
我が家の場合、上がったいまも、当時の固定より低い水準です。だから「判断を間違えた」とは思っていません。
そして、変動が上がるとき、たいてい固定も上がっています
これは見落とされがちですが、大事な点です。
金利が動く局面では、変動だけが上がるわけではありません。固定も上がります。つまり「あのとき固定にしていれば安泰だった」とは、必ずしも言えない。



もし「変動と固定の差くらい、金利が上がる」と本気で思うなら、固定を選ぶのは合理的だと思います。
私は——そこまで上がらないのではないかと考えています。ただしこれは予測ではなく、私の感覚です。当たる保証はどこにもありません。


「変動で組んだけど不安」という人へ
同じ立場の方に、いま伝えたいことを書きます。
まず、いまの契約内容を確認してください
不安の多くは、自分の条件を正確に把握していないことから来ます。
- 適用されている金利
- 残高と残りの期間
- 5年ルール・125%ルールの適用があるか
- 見直しのタイミング
ここが分かると、漠然とした不安が「具体的な数字」に変わります。数字になれば、対処を考えられます。
そのうえで、上がった場合を試算してみる
「もし返済額がいまより増えたら、生活は回るか」。これを一度でも数字で確認しておくと、ニュースを見たときの動揺がかなり減ります。
我が家がそうでした。組む前に上昇を織り込んだ試算をしていたので、実際に上がっても「想定の範囲だ」と受け止められたんです。
借り換えという選択肢は、頭に入れておく
私はまだ実行していませんが、これから金利が上がるようなら借り換えを検討します。
ただし借り換えは「金利が下がればお得」という単純な話ではありません。諸費用がかかりますし、団信に入り直す必要もあります。ここは別記事にまとめました。


ペアローンにして5年、感じていること
金利タイプとは別ですが、あわせて書いておきます。我が家は夫婦それぞれがローンを組むペアローンで、金利タイプは2人とも同じ(変動)にしました。
よかったこと:住宅ローン減税を2人で受けられる
これが最大のメリットだと感じています。
手続き費用は単独で組むより多くかかりますが、減税の効果のほうが上回るので、トータルではプラスという判断です。
手続きの手間は、思ったほどではなかった
書類が2人分になるので煩雑さはありますが、特別に面倒だったという記憶はありません。
やっておいたほうがいいと思うこと
「片方が亡くなった場合の生活費」をシミュレーションしておくことです。
ペアローンは団信もそれぞれの契約になるので、片方に何かあったとき、残った側のローンは残ります。ここを事前に数字で見ておくと、より安心できると思います。
ペアローンの団信の考え方、連帯保証の有無、片方が働けなくなったときの扱いは、金融機関・商品によって異なります。必ず個別に確認してください。


よくある質問
- 結局、変動にしてよかったのですか?
-
いまのところは、よかったと思っています。ただし答え合わせが終わるのは何十年も先です。5年目はまだ途中経過にすぎません。
- 金利が上がって、生活は苦しくなりましたか?
-
なっていません。組むときに「上がっても大丈夫か」を試算していたので、想定の範囲内でした。ここは事前の準備がすべてだと思っています。
- これ以上上がったらどうしますか?
-
借り換えを検討します。ただし諸費用や団信の条件を含めて、自分の数字で計算してからです。
- 繰上返済はいつからしますか?
-
住宅ローン減税が続く間は、いまの方針を変えないつもりです。減税が終わるタイミングで、あらためて考えます。
- 審査に落ちたら、どうすればいいですか?
-
他の金融機関に出してみてください。基準は各社で違うので、1つ落ちても終わりではありません。我が家も落ちた後に組めています。
- これから借りる人には、変動と固定どちらを勧めますか?
-
どちらも勧めません。判断軸は別記事に書きましたが、決めるべきは「どちらが得か」ではなく「どちらのリスクを引き受けられるか」です。前提が違えば答えも変わります。
まとめ:5年目の答え合わせは、まだ途中経過


- 金利は上がり、返済額も変わった。ここは隠さず書いておきます
- それでも後悔はしていない。当時選べた固定より、いまも低いから
- 決め手は「上がっても大丈夫」の試算。予測ではなく確認で決めた
- 比べる相手は「あのときの固定」。契約時の変動と比べると損した気になる
- 上がったら借り換えを検討する。いまは減税が続く間、繰上返済もしない
5年経ったいま、当時の自分に一言だけ声をかけるとしたら——



「変動でよかったよ。」
これだけです。ただし、そう言えるのは「上がっても大丈夫」を先に確認していたからであって、変動という選択そのものが正しかったからではありません。
住宅ローンは、答えが出るまでに何十年もかかる契約です。だから途中で不安になるのは当たり前だと思います。
そのときに効くのは、金利の予測を探すことではなく——自分の契約内容を確認して、上がった場合を数字で見ておくこと。それだけで、ニュースの見え方はかなり変わります。






あわせて読みたい(内部リンク)














参考にした情報(本文中で言及した金利の推移)
本文で触れた短期プライムレート・政策金利の推移は、いずれも日本銀行が公表している一次情報を参照しています。数値は執筆時点(2026年8月)のものです。
- 長・短期プライムレート(主要行)の推移 2001年以降|日本銀行 … 本文の「2001年以降 年1.375〜1.875%」「2009年1月から2024年9月まで年1.475%で据え置き」「2026年2月に年2.125%」は、すべてこの表の最頻値によります
- 長・短期プライムレート(主要行)の推移 1989年〜2000年|日本銀行 … それ以前の水準を確認する場合はこちら
- 金融政策に関する決定事項等|日本銀行 … マイナス金利解除(2024年3月)以降の政策変更は、この公表文が一次情報です
- 金融政策決定会合の運営|日本銀行 … 開催日程・議事要旨・「主な意見」はこちら。次の会合がいつかを確認するのにも使えます
- 長期プライムレート・短期プライムレートとは?|日本銀行 … 用語の定義。「短プラって結局なに?」という方はここから


